画像符号化のためのウェーブレット乗算器係数のSPT表現

摘要

画像圧縮の手法として，離散コサイン変換（DCT）やウェーブレット変換（DWT）といった周波数変換が広く用いられている．これらの変換で用いられる乗算器係数値は－－?般に実数により定義されるが，ハードウェア等で構成される場合は有限語長で近似される．これは，順変換と逆変換の係数値のミスマッチにより再生酎象に劣化を生じさせる原因となる．係数ミスマッチに起関する再牛画像の劣化を減らすには有限語長化する際に十分長い語長を割り当てればよいが，画像圧縮データは?一般にエントロピー符号化前に量子化処理されることから，ある語長より多くの語長を割り当てても冗長となる．そこで，本論文では量子化処理に起因する誤差よりも係数ミスマッチに起因する誤差が小さくなるように各乗算器係数値をできるだけ少ない有限項数の2のべき乗和でSignedPower－Of－Two表現（SPT表現）する方法を提案する．これにより順変換側と逆変換側の係数ミスマッチの影響が視覚的に認知できない最′ト規模のウェーブレット回路が構成可能となる．提案法による回路構成の結果，各乗算器係数に同項数の2のべき乗和を割り当てた恒l路と比較して5呵程度の回路規模の縮小がHDL言語を用いた実験で確認された．