多周波の反射透過型観測データに基づいた超音波逆散乱画像再構成

摘要

超音波逆散乱画像構成法を医用に適用する際には，観測角の制限に対処する必要があり，このために我々は以前に物体背面に反射板を配置した反射透過型の観測データに基づいた超音波逆散乱画像再構成法を提案していた．本手法には互いに直角方向からの観測データに対応した実像・虚像の両データが同時に取得できる性質があるため，120°程度の狭い範囲に観測角が制限されても良好な音速画像が再現できる特徴がある．本論文では，観測角度制限に対する本手法の強靭性を更に向上させる目的で，単一周波数を用いる今までの方法に代わって，有限帯域の多周波の照射周波数を用いる反射透過型逆散乱画像再構成法を提示した．また，生体組織を想定した任意形状弱散乱性試料に対するシミュレーション数値実験データを用いた音速再構成画像の性能評価を行い，60°程度の非常に狭い範囲に観測角度範囲が制限されても，定量精度と形状再現性能の良好な音速画像が再現できる結果を示した．