マルチ走査によるウェーブレット変換符号化に関する一検討

摘要

本論文では，画像圧縮においてウェーブレット変換基底に高次のフィルタを用いた場合に問題となる変換処理の削減を目的としてウェーブレット変換におけるフィルタ処理の走査方向に着目し，走査方向と復元画像の関係について論じている．提案した走査方法を通用したウェーブレット変換は，従来のウェーブレット変換に特別な処理を加えることなく構成できるため，従来の手法に比べ，高速処理が容易に実現可能である．また，従来形ではウェーブレット変換基底に低次のものを用いると低周波数成分の量子化により復元画像にブロック状の雑音が混入してしまう．それに対し提案した手法では，そのような雑音の混入を低減させることができることを実際の画像を用いた計算機シミュレーションによって確認し，提案手法の有効性を検証している．