遺伝的アルゴリズムによるスタブ付伝送線路フィルタの設計

摘要

本論文では，遺伝的アルゴリズムを利用したスタブ付伝送線路フィルタの設計について検討した．伝送線路フィルタは，集中定数プロトタイプフィルタを出発点として，いくつかの変換操作により等長素子を接続する形で実現される場合が多い．提案手法ではフィルタ構造の決定を最適化問題ととらえて，遺伝的アルゴリズ ム(Genetic Algorithm: GA)により，所望の特性を実現する構造を決定する．この場合，ある区間の特性抵抗や区間長は自由な値をとることができるため，特性抵抗の分布に規則性はなく，また不等長区間の接続によりフィルタが構成される．その結果，これまでと異なる構造をもつフィルタを得ることができ，より構造が単純で小型のフィルタの実現や，等長素子の接続によるフィルタ構造では扱いにくい周波数特性をもつフィルタの実現等が期待できる．実際にいくつかの低域通過型フィルタの設計を行い，提案手法が伝送線路フィルタの一設計手法となり得ることを示した．