広域研究体制とは:ハイパー核分野での経験から

摘要

核物理学の研究に身を置くようになってから、「広域研究体制」という言葉に出会ったのは、坂東弘治氏が福井大学に転出されるという時期と重なっていたと思う。 京大核理論研究室では、当時学内的にも全国的にも深刻さの度合いを深めていたOD問題とそれに関連する研究体制をいかにつくっていくのか、という議論なども自然にできる雰囲気があった。それ以前においては、通常は「地方大学問題」という表現でもって、人も金も研究情報（学術雑誌）もない劣悪な地方大学の研究条件をいかに改善するかという、いわば条件改善運動的な議論が主流をなしていた。