空間解像度変換を導入したMPEG-4符号量制御による低ビットレート動画像の質改善

摘要

動画像標準符号化方式では，伝送路の容量の制限などから，一定かつ低ビットレートでの伝送を可能とするために符号量制御を行う必要がある．MPEG符号化方式では，離散コサイン変換領域での量子化によってデータ量の削減を行うことから，基本的には量子化値可変で符号量の制御が可能となる．MPEG-4 VM18.0におけるスケーラブル符号量制御（SRC）がそれである．しかしながら，量子化値の可変範囲に制限があることからその符号量制御の範囲は広くない．動きを多く含むシーンなどでは，符号量を所望の値までに抑えることが困難となり，そのときは，そのフレームの符号化を行わず，フレームスキップとなる．フレームスキップを回避するためにSRCに対して，空間解像度を低下させて発生符号量を抑えるReduced Resolution VOP（RRV）がVM18.0 Version 2で機能追加された．SRCとRRVの制御は独立になされることやRRVの方式が不十分であることから，改善の余地がある．本論文では，SRCの枠内に空間解像度変換を包含させた新しい符号量制御方式を提案する．提案法は"通常解像度での適応量子化による制御"，"低解像度での適応量子化による制御"，"フレームスキップによる制御"の三つの符号量制御方式を統一的な指標のもとに切り換える方法である．そのことにより，フレームスキップを効果的に回避可能となり，かつ，必要以上の数のフレームが低解像度化されてしまうことを避けることができ，復号化されたフレームの画質も高い優れた方法となった．