核燃料サイクルを巡る動向と展望：「もんじゅ」の現状と高速増殖炉開発の展望

摘要

エネルギー資源の乏しいわが国では，将来のエネルギーを安定して確保することは重要な課題である。 このため，わが国では使用済燃料を再処理し，抽出されたプルトニウムを新たな燃料として利用する「核燃料サイクル」の確立を基本路線として進める政策をとっている。 そして，その最終目標は，「高速増殖炉(FBR)サイクル」を確立することであり．そのFBRの実用化に至る中間規模の原型炉として「もんじゅ」が開発されている。 「もんじゅ」は，1995年のナトリウム漏えい事故以降，運転を停止している。 現在，ナトリウム漏えいに対する改善等，安全性を一段と向上させるための改造工事に取り組んでおり，工事後，地元との協議を踏まえ運転を再開する予定である。 一方，日本原子力研究開発機構と電気事業者が，FBRの実用化像を構築し，技術体系を確立するため，進めてきた「実用化戦略調査研究(FS)」のフェーズIIが2006年3月に終了し，今，その評価が実施されているところである。 本稿では，「もんじゅ」の現状およびFSのフューズIIの内容を中心にFBR開発の展望について述べる。