労作性狭心症

摘要

労作性狭心症に対する低侵襲な血行再建法として，冠動脈インターベンション（percutaneous coronary intervention：PCI）が導入されたが，その初期には急性冠閉塞と慢性期の再狭窄が大きな問題であった．このような問題に対して，ステントが導入され，急性冠閉塞が減少し，PCIの初期成績は向上した．また，遠隔期の再狭窄もある程度，減少させることができ，PCIの適応が拡大してきた．しかし，ステントの再狭窄予防効果は必ずしも満足すべきものではなく，実際に遠隔期再狭窄率が高いことがPCIの適応拡大の制限となっている病変も多い．現在，本邦以外の多くの国で，強力な再狭窄予防効果が期待できる薬剤溶出性ステントが導入され，PCIの適応が変化しつつある．今後本邦でも，その導入によって，PCIに関して，その適応を含め，さまざまな変化が予想される．本稿では，このような背景をふまえ，労作性狭心症の病態，診断，治療および，薬剤溶出性ステントの導入が労作性狭心症の治療に与える影響などについて概説する．