《造血幹細胞移植療法の適応拡大》臍帯血移植

摘要

骨髄移植（bone marrow tranSplantation：BMT）を通じて造血幹細胞の重要性が認識され，骨髄以外に由来する造血幹細胞によっても移植が成立することが知られてきた．一方，臍帯血中の造血幹細胞の存在が確認され，それを用いた移植,すなわち臍帯血移植（cord blood transplantation：CBT）の臨床応用が開始され，短期間で急速に普及してきた．臍帯血バンク設立と成人への適応拡大により，現在では多くの症例に移植の機会が広がっている．本稿では，これまでの欧米を中心としたCBTの成績と東京大学医科学研究所附属病院（以下，東大医科研）における成績を報告し，その相違点，問題点を検討し，最後にCBTの将来を展望する．