《ここまでわかったパーキンソン病の発症機序と病態生理》［病態生理］大脳基底核の神経回路

摘要

Fig.1aに運動回路の基本構造を示す．運動回路の神経経路は一次運動野，前運動野，補足運動野，そして体性感覚野に発し，基底核から視床を経由して前頭葉に投射する．基底核の入力部である被殻は大脳から入力を受ける．被殻から基底核の出力部である淡蒼球内節と黒質網様部にいたる基底核内の経路は2つある．連接路は被殻から垣接淡蒼球内節と黒質網様部にいたる抑制性の経路であり，間接路は被殻から出て淡蒼球外節，視床下核を経由して淡蒼球内節と黒質網様部にいたる．黒質撤密部のドパミンニューロンは，線条体直接路ニューロンにはドパミンD_1受容体を介して促通性，間接路ニューロンにはD_2受容体を介して抑制性に作用し，両経路を通じて淡蒼球内節，黒質網様部をtonicに抑制していると考えられている．