経静脈性超音波造影剤開発の将来展望

摘要

超音波検査は長いあいだのBモード画像のみの診断から一変し，造影超音波検査の時代になった．造影剤を用いる超音波診断は，1980年代に始まったCO_2動注による方法により，以後は急速に発展することになった．1999年9月からは，わが国で唯一使用できる経静脈性超音波造影剤であるレボビスト（Levovist）による診断に取って代わられつつある．しかし，レボビストは左心系を造影できるが再循環率が比較的少ないため，超音波装置上の工夫が必要とされる．レボビスト対応の装置の開発もさることながら，気泡として主にフッ素ガスを使用し，シェルを有する第二世代の造影剤が開発され，治験臨床データも出始めている．これらの造影剤の目標は血管の造影のみではなく，循環器以外の領域では肝臓，腎臓，前立腺などの実質臓器の虚血部位や腫瘍のperfusion，組織の血液灌流を可視化することにある．