エタノール注入療法

摘要

経皮的エタノール注入療法（PEIT）は肝癌に対する内科的局所療法として本邦で開発され，その安全性と有効性が確認され，一般に広く用いられてきた．経カテーテル肝動脈塞栓術（TAE）ではその効果が5年生存率26％程度と満足すべき成績ではないことなども，PEITが普及した要因である．最近ラジオ波やマイクロ波による熱凝固療法が脚光を浴び，PEITが肝癌に果たす守備範囲は狭くなりつつある．しかし実際には，種々の要因からPEITが多数の施設で行われている実状はしばらく続くものと考えられ，従来のPEITのバージョンアップが望まれる．本稿では，まず筆者らの最近のPEITの方法，成績を述べ，変動しつつあるPEITの適応などについて述べる．