RGB-Dカメラを用いたミリ波通信人体遮蔽予測に基づくプロアクティブ経路制御の実装

摘要

ミリ波通信では，車や歩行者などによる見通し通信路の遮蔽により，通信性能が著しく劣化する．このブロッキング問題解決手法として，受信電力やフレーム損失率などの通信品質の変動を検知しリアクティブに通信制御を行う手法が考えられる．しかし，制御が完了するまでの一時的な通信品質の低下は避けられない．ミリ波通信の主な用途は大容量データの短時間での転送であり，このような一時的な伝送レートの低下は転送完了時間を遅延させるため，体感品質の劣化が懸念される．我々は，ミリ波通信においてRGB-Dカメラを用いた通信環境予測とそれに基づくプロアクティブ通信制御手法を提案している．RGB-Dカメラによりブロッキングを予測し，通信品質が劣化する前にプロアクティブに通信制御を行うことで，高効率かつ高信頼なミリ波通信を実現する．本稿では，RGB-Dカメラを用いた人体遮蔽予測に基づきプロアクティブに経路制御を行う手法を提案し，IEEE 802.11ad規格対応ミリ波無線LAN機器を用いたテストベッドに実装する．本実装システムでは，Kinectの人体検出機能を用いて通信路を遮る歩行者の通行を予測し，ブロッキング発生前に経路を変更することで，ブロッキングによるスループットの低下を回避する．実証実験により，スループット低下期間を20まで削減できることを示す．