Path splicing制御方式におけるリンク容量を考慮した全域木集合決定法

摘要

インターネットをはじめ，通信ネットワークが重要な社会インフラとなり高い信頼性が求められている現在，ネットワーク上での故障や輻輳による通信途絶を回避するために，迅速に代替パスを発見して切り替える必要性が高まっている．代替パスへの切り替えに時間がかかる場合，通信途絶によって大幅なサービス品質の劣化を引き起こしてしまう．この問題を解決するために，Path splicingと呼ばれる制御方式が提案されている．Path splicingでは複数の全域木（以下，全域木集合と呼ぶ）を用いてルーティングを行うが，その性能は全域木集合の決定方法に大きく依存している．これまでの研究では故障時に通信の継続性は保たれるものの，リンク容量を考慮していなかったため特定のリンクにパスが集中する可能性があった．また故障がない場合のルーティングにおいて任意のノード間の上り下りのパスが一致しない問題もあった．そこで本稿では通信の継続性とリンク容量の両方を考慮したアルゴリズムを提案する．また，シミュレーションによって提案する全域木集合決定アルゴリズムの有効性を検証する．