国立大学病院のゆくえ 統合と分化

摘要

昨年4月より九州大学医学部附属病院長に就任し，巡り合わせというかいまだかつて経験したことのない激動期の，大学独立行政法人化直前の病院長として病院改革に携わることになった．欧米と異なり，日本の大学病院は長い歴史の中で診療，研究，教育のすべてのオールマイティとして，日本の医療，地域医療の中心として貢献してきた．この100年の歴史をみて，日本医療における大学病院の果たした役割は枚挙にいとまがない．しかし，それが大学の閉鎖性と独善性を導いてきてしまい，ひいては大学周辺の病院の，医療と経営の改善と向上へ向けてのすさまじい努力から置き去りにされてしまった．大学人として，これではいけないと思いながらも，できる範囲で精一杯努力してきた状況の中で，大学独立行政法人化のスタートである．