急性白血病の病態と分類

摘要

近年，急性白血病の病因#12539;病態研究は，染色体#12539;遺伝子レベルで急速に進展している．その結果，特異的染色体#12539;遺伝子変異を有する病型が存在し，治療予後にも強い影響を及ぼすなど臨床的にも重要であることが判明してきた．一方，急性白血病の分類は，French-American-British（FAB）分類が広く普及し，世界標準として活用されてきた．しかし，形態学を基本に置いたFAB分類では，特異的染色体異常#12539;遺伝子変異を有する病型を分類することはできなかった．1999年，世界保健機構（WHO）は，急性白血病を含む造血器#12539;リンパ組織悪性腫瘍の分類法を発表した．この新WHO分類は，FAB分類に含まれない病型や特定の染色体#12539;遺伝子変異を有する病型を取り上げ，より包括的分類法といえる．本稿では，急性白血病の病態を新WHO分類の観点から述べることにする．なお，以下に述べるWHO分類とは，すべて新WHO分類を指す．