溶連菌感染後糸球体腎炎

摘要

溶連菌感染後糸球体腎炎(PSGN)は，A群beta溶 血性連鎖球菌によって引き起こされる，急性腎炎 症候群(AGN)を呈する代表的な疾患である. AGNの大部分を占めているが，上気道炎をはじ めとする感染症への抗菌薬の積極的な使用により， この30年ほどで頻度は減少している.しかし， 本疾患は小児に多く，成人においても一定の頻度 でみられ，決して過去の病気というわけではない. 冬から春にかけての発症が多く，症状は上気道や まれに皮膚などへの感染後2週間ほどで出現する 浮腫，高血圧，尿所見異常である.尿所見として は，無症候性血尿のみの軽症から，コカコーラ様 の肉眼的血尿を呈するものまでさまざまである. 腎予後は一般に良好であるが，時にネフローゼ症 候群や急性腎障害(AKI)を呈することもあり，長 期にわたって腎炎が遷延するものは，予後不良とされる.