《診断のMinimum Essential》白血病のFISH解析

摘要

白血病の原因遺伝子が単離され，FAB分類における特定の病型と染色体転座の密接な関連が明確になった．このような分子遺伝学の成果は，新WHO分類に導入され，t（8；21），inv（16），11q23転座，t（15；17）が独立した病型になり，加えて，分子標的治療の開発を可能にした．しかし，白血病も多因子病の一つであり，個別化治療の必要性が認識されている．一方，白血病に特異的な染色体遺伝子異常を同定あるいは解析するうえで，FISH（fluorescence in situ hybridization）法とその技術革新は重要な役割を果たしてきた．さらに，診断はいうまでもなく臨床病態の層別化，治療効果の判定や微小残存病変（minimal residual disease：MRD）の検出，予後推定や造血幹細胞移植後のキメリズム判定など，広く日常臨床に応用されている．