再認可されたnatalizumabによる多発性硬化症再発予防

摘要

細胞接着分子は細胞間相互作用に関与し，炎症や免疫反応の調節に重要な役割を果たしている．これらの接着分子に対するモノクローナル抗体が臨床応用されるに至り，注目を集めている．natalizumabは接着分子VLA-4に対するヒト化マウスモノクローナル抗体であり，多発性硬化症患者に対するphase Ⅲ試験の劇的な結果から試験開始1年で米国食品医薬品局（FDA）の認可を受けた．その後3例の進行性多巣性白質脳症（progressive multifocal leucoencephalopathy：PML）のために発売後4ヵ月で自主的に発売は中止された．しかし，患者団体からの強い要望，諮問委員会での見解を受け，使用法を厳密に管理すれば同薬の有益性は副作用リスクに優るとし，FDAは厳しい条件つきで2006年6月5日同案を再認可した．