水素?酸素および窒素安定同位体組成からみた甲府盆地東部地下水の涵養源と硝酸イオン濃度分布特性

摘要

甲府盆地東部における扇状地地下水中のNO_3~-濃度に与える地下水滴養の影響を同位体追跡手法により検討した。笛吹川扇状地および日川?金川扇状地において地下水，降水ならびに河川水を抹取し，それらのNO_3~2濃度，水のδD?δ~(18)O値ならびにNO_3~-のδ~(15)N値を測定した。その結果，両扇状地における地下水中のNO_3~-濃度は幅広い範囲で検出され，これらのδ~(15)N値はNO_3~--Nの起源が畑地の肥料であることを示した。－方,水のδD?δ~(18)O値は，地下水の起源が降水と河川水であることを示した。NO_3~-濃度とδ~(18)O値の間には強い相関関係が得られ，地下水中のNO_3~-濃度は，低いδ~(18)O値を示す河川水起源地下水で低く，高いδ~(18)O値を示す降水起源地下水で高いという傾向を示した。これらの結果は，肥料起源窒素の地下水流人において，降水の地下浸透はキャリアーとして，河川水滴養は希釈要因として機能していることを示した。