広帯域位相共役器と分散フラット伝送路で構成されるDWDM　システムのシミュレーションによる考察

摘要

波長分割多重伝送では，波長が異なるチャネル間のパルスどうしの追越しによる相互位相変調等の非線形効果がパルスひずみやタイミングジッタを引き起こす．特に，入射ピーク電力が大きくなるほどこの相互位相変調に起因する伝送特性の劣化は顕著になる．より高ビットレート，より長距離の波長分割多重伝送システムを実現するには，高SNRを維持できる高い入射ピーク電力が不可欠であり，相互位相変調の影響を補償する技術が必要となる．本論文では，分散フラット伝送路の中央に広帯域位相共役器を設層することで，伝送路の前半と後半で生じる相互位相変調を相殺し，その影響が低減できることを計算機シミュレーションにより示す．更に，周波数利用効率0.32bit/s/Hzの波長分割多重伝送では，本構成による伝送システムのほうが，高密度に有効といわれる非線形伝送技術を用いた伝送システムよりも，5dB入射ピーク電力を高くできることを示す．