TCPオーバレイネットワークにおける障害対策の一検討

摘要

我々は、TCP通信高速化やセッションレベルの品質制御を実現するため、TCPオーバーレイネットワークを提案している。 TCPオーバーレイネットワークとは、網内にTCP中継ノードを配置して、TCPコネクションの中継を行う通信方式である。 TCP中継ノードは、送信端末に対して受信確認応答済みのパケットを保持するため、このノードにおいて障害が発生した場合、これらのパケットが破棄されることで通信が継続できなくなる可能性がある。 この場合、プロトコル的には障害が認識されないため、送受信端末間で長時間セッションを維持したまま通信停止の状態が長く続くことになる。 そこで本稿では、TCP中継ノード障害時に発生する問題点を明らかにし、その対策方法を提案する。 提案方式では、あるTCP中継ノードの障害時に、近隣のTCP中継ノードが通信継続不可能なTCPセッションを識別して強制切断することで、長時間の通信停止状態を回避する。 提案方式の実装評価を行い、長時間にわたって通信が停止するTCPセッションが切断されることを確認した。