膀胱炎#12539;腎孟腎炎

摘要

尿路感染症は細菌感染症としてはもっとも頻度の高い感染症であり，多くの臨床医が日常的に遭遇する疾患の一つである．通常，その診断は比較的容易であり，尿路基礎疾患の合併がなければ抗菌薬治療に対する反応性も良好である．一方，基礎疾患を背景に発症する症例では，治療に対する反応性は必ずしも良好とはいえず，適切な治療薬の選択には原因菌の同定とその薬剤感受性試験が必須となる．現実的には，急性症例では原因菌が確定する前に治療を開始することが多く，各施設における原因菌分布と薬剤感受性の動向を日常的に把握しておくことがempiric therapyの基本となる．また，再発症例や難治症例では尿路基礎疾患の合併を念頭に置く必要がある．