繊維とは?

摘要

「繊維とは、細くて長いものである」。 繊維の定義は？ と問われたとき、先ずはこう答えることにしている。 注釈 をつけ始めるときりがないが、「細長い」と「細くて長い」 は、意味が異なる。 「細長い」といえば、単純に太さと長 さの比率の議論になるが、「細くて」、「長い」というと、 細さ、長さに主観的な判断が入る。 人間が感じ‘る細さ、長 さという概念が介在してくる。 そこで、細くて長いことを 本質とする繊維の特徴は？と考えると、「細さ」がもたら す「柔軟性」と、「長さ」がもたらす「連続性」を兼ね備 えたものということになる。 「柔軟性」は、人との関わり において特に重要であり、構造体を形成するときの自由度 の高さにも通じる。 一方、「連続性」は、力や情報の伝播 という観点から強さや機能に関わってくる。 開発の盛んな 高強度繊維も、強さと柔らかさという二律背反する性質を 兼ね備えることで、魅力的な素材となっている。