組織に配布されているが未使用のIPアドレスで構成されるネットワーク(ダークネット)では,異常な通信のみを観測できる.ダークネットには大量のIPアドレスが必要であるが,観測専用の未使用IPアドレス空間を大規模に確保することは難しい.未使用のIPアドレスやポート番号を動的に検出して仮想センサとして観測に用いるVirtual Dark IPアドレス(VDIP)やVirtual Dark Port (VDP)が提案されているが,仮想センサ空間の定量的な分析は十分に行われていない.本研究の目的は,IPアドレスとポート番号の使用状況における特徴を利用して仮想センサ空間を拡張することである.同時に,その空間の検出にかかる時間を短縮する.本研究では,/16のプレフィックスを持つネットワークを対象とした実験から以下のことを示す.VDIP検出アルゴリズムのパラメータを適切に設定することで,VDIP数をほとんど減らずに処理時間を半分以下にでき,VDIPの誤検出を十分に少なくでき,時間帯による使用IPアドレス変化を仮想センサ空間に反映できる.また,VDPによる仮想センサ空間は,このネットワーク空間の最大99.98%をカバーでき,VDIPによる仮想センサ空間を最大6.84ポイント拡張できる.
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