1型糖尿病患者における微量アルブミン尿の出現は必ずしも進行性腎症を意味しない

摘要

近年，糖尿病性腎症に起因する慢性腎不全のため血液浄化療法に導入される症例が急増している．日本透析医学会の集計では，1998年以降，慢性糸球体腎炎を抜いて新規導入患者の原因疾患の第一位となり，2002年12月末現在の最新調査報告では，新税導入症例（32，308例）の39．1％を占めるにいたっている．現時点で糖尿病性腎症患者の正確な数は把握されていないが，今後も糖尿病患者数の増加に伴い，腎症症例も増加すると予測される．このような現状を打破するため，腎症を早期に診断し，まだ可逆的な時期に適切な治療を開始することが重要である．