詳細人体モデルを用いた一様磁界ばく露におけるIEEE規格の再検討

摘要

我々は日常的に電気機器や送電線から発生する電磁界にさらされており，環境電磁界の影響を防護するために，ICNIRPやIEEEといった国際機関がガイドラインを定めている．これらのガイドラインでは，基本制限の指標となる体内誘導物理量に対応する外部電磁界強度を関係づけている．低周波磁界ばく露に関して，ICNIRPでは詳細人体モデルによる数値計算結果を参照してこれらを関係づける一方，IEEEでは楕円断面均質媒質モデルの解析式により算出された値を参照している．現在，IEEE規格では，詳細人体モデルによる検討結果を考慮することを検討している．本稿では，IEEEにおいて刺激作用が支配的と考えている5MHzまでの周波数領域に着目し，磁界の最大許容ばく露値と体内誘導電界量の関係の再検討を行う．具体的には，日本人を模擬した詳細人体モデルを用いて，人体の正面から最大許容ばく露値の一様磁界ばく露をしたときの，各周波数における体内誘導電界量を算出する．この結果をIEEEの基本制限と比較，検討を行う．