大気観測装置用ミリ波帯超伝導 SIS ミクサのリニアリティ測定

摘要

地球大気中に存在する微量分子は回転遷移によって微弱なミリ波帯の電波を発しており、その観測には大気ミリ波分光計を用いる。名古屋大学の観測グループが用いているミリ波分光計は、低温（約 77K）及び常温（約3 00K）の黒体放射を基準雑音として入力することで観測された分子スペクトルの強度較正を行っているが、検出器である超伝導 SIS ミクサは入力信号が大きいほど線形性が失われると指摘されている。従って精確な観測のためには、SIS ミクサの線形性が入力する黒体放射のエネルギーに対してどの程度失われているのかを測定し、較正に反映する必要がある。本発表では、ミリ波帯超伝導 SIS ミクサの線形性測定系の設計及び製作、及び現在までに得られた実験室での試験的な評価結果について報告する。