多様な布地属性に対する質感評価 - 被験者の知識と感覚モダリティの相違の影響

摘要

布地の質感評価には，繊維素材や織り，編み，糸の太さなどの布地の構成要素（布地属性）と，それらを受け取る触覚や視覚などの感覚モダリティ，そして感覚モダリティによる情報と布地（被服）の知識などが影響し，それらの相互の関係から最終的な布地の質感が評価されると考えられる.ここで，感覚モダリティ1とは，一般的に視·聴·嗅·味·皮膚の感覚に加え，運動·平衡·内部の感覚などの感覚様相とされ，皮膚感覚は，触·圧·冷·痛と区別されている.したがって，本研究で扱う感覚モダリティは布地の質感評価に主として関連する視覚と触覚にフォーカスする.尚，触覚は皮膚感覚に含まれて圧·冷·痛の感覚とは区別すると定義されているが，布地の質感評価ではそれらの感覚の関与の区別が困難なことや，手による触感の評価を分かりやすく想起させるために皮膚感覚ではなく，圧·冷·痛の関与も含めた広義の意味の「触覚」と呼称した.