優先度に基づくパケット追い越しとリソース制御を付加したNoCアーキテクチャ

摘要

近年の半導体技術の進歩により多くのトランジスタを1つのチップ上に集積できるようになり，現在ではChip-Multiprocessor（CMP）の利用が一般的となった．しかし，従来の共有バスを用いたコア間接続ではバンド幅等の点から対応することが困難となってきており，この問題を解決するために近年Network-On-Chip（NoC）の研究が進められている．しかしパケットの転送遅延を抑えることによるNoCの性能向上の手法として，ルーティングによる負荷分散はルータの実装面積の制約から限界に達しつつある．そこで本研究ではNoCのパケットヘッダに優先度を付加することでこの問題を解決する．優先度に基づくパケット追い越し機能付きオンチップルータ，ならびに優先度によって生じるリソース占有を防ぐ機構を実装した．評価結果から，優先度に基づくパケット追い越し機能が有効に動作していることを示した．また，リソース制御により高優先度パケットの転送遅延を維持したまま，低優先度パケットの転送遅延が最大で7.7％減少でき，リソース使用の公平性がとれていることを示した．