山陰地方の地すべり特性とその対策

摘要

山陰地方の地形を山陽と比較すると広い平野は少ないが，山稜が海に迫って急崖が連続するところもほとんどない。 内陸でもなだらかな山地が広がっており，この地形的特性を反映して，山陰海岸から中国山地内部まで多くの集落が点在している。 このような山陰地方には，多くの地すべり地が存在する。 地すべり指定地数で見ると，広島県の計15（約198ha）に対し，島根県では計258（約11,890ha）に達している。 指定地数は，必ずしも自然現象としての地すべり発生の危険度とは対応しないが，上記のことは全体的傾向として，①自然斜面で地すべりが発生しやすいこと，②発生しやすいところに多く人々が居住していること，かつ③それに関連した道路整備地域等に地すべり危険地帯が多いことを表わしている。