皮膚?爪真菌症

摘要

I.爪真菌症の原因菌 爪真菌症とは,白癬菌(dermatophyte),非 白癬菌性糸状菌(non-dermatophyte),カンジ ダ属による爪の真菌感染症である。爪真菌症 の原因となる菌種は，白癬菌では日本医真菌学 会による疫学調査によると，T. rubrum(85), T.mentagrophytes(15)であり，爪白癬の大部分がT.rttbrumによるものと考えられている。非白癬菌性糸状菌による爪真菌症は，アスペルギルス属，フサリウム属,アルテルナリア属などによる症例が報告されているが，白癬菌による爪白癬に較べると，その頻度は著しく低い。また,これらの菌は土壌環境中に存在するため，爪病変の真菌培養で単離されたとしても，病原菌であることを証明することが難しい場合が多い。カンジダ属による爪真菌症は, C. albicansによるものが多い。爪のカンジダ感染は，手指爪には多く生じるが，足趾爪では白癬菌によるものが多い。一般診療では，爪真菌症の多くの原因菌は白癬菌であることから，爪真菌症≒爪白癬と捉えられることが多いため, 以下，爪白癬について概説する。