ユビキタスオフィスのテクノロジー

摘要

ユビキタスとは，ラテン語を語源とする言葉で“いたるところに存在する”（遍在）を意味する．もともとユビキタス·コンピューティングは，1980年代後半に米国Xerox社Palo Alto研究所のMark Weiser氏によって提唱された概念で，複数で1台の機器を使用するメインフレーム，1人で1台を使用するPCに続く第3世代の環境として，1人が複数のコンピュータを使う状態を示すものだった．最近では，いつでもどこでも，時間や空間を意識することなくネットワークにアクセスできる環境にあることを示す形容詞としてこの語が使われている．企業内において，エンドユーザーがいつでもどこでも情報にアクセスすることを可能とし，業務を効率的に進められる環境を実現したオフィスのことを，ここでは「ユビキタスオフィス」と呼ぶ．その特徴を端的な言葉に表現すれば，「いつでもどこでも」「セキュアに」「快適に」仕事ができるオフィスということになる（図1）．