アルミニウム圧延技術の進歩--この30年の発展と今後の展望

摘要

アルミニウム圧延機設備や周辺の制御技術に関する進展と，主要工程である熱間圧延及び冷間圧延での代表的な種々制御技術の概要について述べた。 今後の動向としては，さらなるコストダウン，品質及び生産性の向上を目指した技術開発の推進が期待される。 本稿では触れなかったが，例えば連続鋳造圧延技術，品質作り込みを目的とした性能予測制御技術，熱延の連続化さらには熱延冷延連続化技術，プロセストライボロジ技術などの課題解決に向けた一層の進展が望まれる。 また圧延の高速，高圧下，薄肉化，多品種化がさらに進展することが予想されるため，ハード，ソフト面での一層の技術開発が不可欠である。 圧延材の温度測定，形状や表面品質検出などの各種センサの高精度，高信頼性化，また多品種生産に適した制御技術，例えばモデルにもとづく制御手法などのさらなる進展が望まれる。 一方種々の技術の高度化により，取り扱うべき情報量は飛躍的に増大しつつある。 また従来はノウハウと称して熟練者の経験と勘を頼りにしていた様々な圧延技術の数値化や標準化，技術伝承といった問題が顕在化しつつある。 これらについては，コンピュータを駆使した最適化，システム化技術の構築，より具体的には生産スケジューリングやシミュレーション技術，設備状態の診断技術などの開発がきわめて重要な課題であり，今後の進展が大いに期待される分野である。