BitTorrentは,アンダーレイの構造を考慮しないオーバーレイネットワークを形成するため,トランジットコストに影響を与えるAS間冗長トラフィックを生み出す.この冗長トラフィックを削減する手法の1つに,プログラマブルノード上のIn-networkキャッシュを利用した冗長トラフィック削減手法があるが,この手法においてはヒット率向上が課題となる.既存キャッシングアルゴリズムであるLRUは広く利用されているものの時間的局所性を利用するアルゴリズムであるため,BitTorrentが採用するピース選択アルゴリズムのRarest First Algorithmを考慮するとLRUはBitTorrentに対して最適なキャッシングアルゴリズムではない.我々はこの課題を解決するため,(1)ピアによって直近に交換されるファイルのピースの予測,(2)BitTorrentに適したキャッシングアルゴリズムを提案し,以前(1)について報告した.そこで本稿では,特に(2)に関する考察を報告する.具体的には(1)の拡張手法であるAS 内レアピース検知手法から得るレアピース情報を基にレアピースを優先してキャッシュに保持する.シミュレーションにより,網内を通過するパケットの透過的な観測のみによりレアピース情報を取得し,その情報を基にした提案キャッシュアルゴリズムはLRUと比較してキャッシュサイズを小さくするほど改善率は向上することを示す.
展开▼