仮想道具による身体像拡張の評価手法に関する研究

摘要

我々は，自分の手や足といった身体の各部位の位置関係を，自分の目で見なくとも，把握することができる．このような，身体に関する空間知覚の働きの意識的な表象を「身体像」と呼ぶ．自身の身体に対するイメージは，例えば，我々の野球のバットやテニスラケットなど，その長さや大きさを意識することなくあたかも自分の身体の一部であるかのようにボールを打ち返すことができるように，ダイナミックに変化する．こうした道具の使用時において，その道具の先端にまで身体像が拡張されることが，入來らのサルを用いた実験によって神経生理学的に示されている．本研究では先に提案した実体の道具に仮想道具を映像重畳するインタフェースにおいて，身体像の拡張感を創出するかについて客観的に評価する手法を提案する．