ハイブリッド直射型室内光無線通信システムにおける強度分布を用いた空間分割／時分割多元接続方式の送信光電力制御に関する検討

摘要

OOK-IM/DD（On Off Keying - Intensity Modulation/Direct Detection）方式を用いるハイブリッド直射型室内光無線通信システムでの多元接続方式として，強度分布を用いた空間分割／時分割多元接続方式が提案されている．この方式では，光無線基地局で観測される強度分布の形状から各端末の送信データを一括判定することで空間分割多元接続（SDMA: Spatial Division Multiple Access）を可能とし，端末数の増加に伴う個々の端末のスループットの低下を抑圧する．また，似通った強度分布候補を形成する端末を異なるTDMA時間スロットを割り当てるスケジューリングにより，各TDMA時間スロットにおいて強度分布の判定誤りが生じないように強度分布の形状の差異を確保する．しかしながら，複数の端末が隣接して存在する場合など，強度分布候補間の形状の差異が十分ではない状況では，より多くのTDMA時間スロットを用いてそれらの端末を収容する必要があるため，個々の端末のスループットの低下を抑圧できる度合いは小さい．強度分布を用いた空間分割／時分割多元接続方式の有効性を十分に発揮するためには，できるだけ多くの端末が強度分布を用いたSDMAにより収容されることが望ましい．そこで本稿では，強度分布を用いた空間分割／時分割多元接続方式において，強度分布候補間の形状の差異を拡大し，強度分布を用いたSDMAにより多元接続可能な端末数を増やす方法として，各端末の送信光電力を制御する手法を提案し，その有効性について検討する．