Cooperative Jammingにおける妨害者の計画的設置の検討

摘要

無線通信路上の情報の秘匿性を高めるため通信方式そのものにセキュリティ機能を持たせる物理層セキュリティが注目されている．物理層セキュリティの方式の一つに協調ジャミング（Cooperative Jamming）がある．この方式では，送信機，受信器以外の第三者が協力者となり，盗聴を防ぐ目的で盗聴者に対し妨害電波を送信する．携帯電話システムにおける下り回線において，ある時点で送受信を行っていない移動端末が協力を行うものとする既存研究がある．しかしながら，そのような協力者がいつも盗聴者の近くにいるとは限らないため，妨害が確実に行えるとは言い難い．本稿では，妨害局を通信事業者が計画的に配置する場合を考察する．盗聴者への情報漏洩を防ぐために必要な妨害局の総数と妨害電力などについて考察する．