マコモ植栽によるハクチョウの採餌地創出の取組み

摘要

宮城県を流れる一級河川白石川では，ハクチョウへの人工の餌の給餌による水質の悪化や生態系への影響が懸念されるため，地下茎がハクチョウの餌となるマコモを植栽している。 しかし，ハクチョウの食庄によるマコモの定着阻害が問題となっており，毎年マコモ田に補植を行なっている。 そこで，ハクチョウがマコモを食べる環境やマコモが自生する環境について調べるために，現地調査および関係者からの聞き取り調査を実施した。 この結果，ハクチョウはマコモ田の上流部に多く集まることがわかった。 また，マコモの発芽状況が悪いために，補植している上流部では，補植したマコモの葉茎密度が低く株の大きさが小さいということがわかった。 以上について，地下茎の引き抜きやすさと周辺環境がハクチョウの食圧の偏りを引き起こす原因ではないかと考えた。 また，マコモが自生しないのは，捕食者であるハクチョウに対して被食着であるマコモが少ないために食圧が過剰にかかることや，ハクチョウの食圧によって分断された地下茎の体積が小さいために発芽できないことが原因ではないかと考えた。 今後の展望としては，ハクチョウとマコモの共生について，人間の介入を減らし，安定した関係を継続していくことが重要であると考えた。