［ポスター展示］水中マルチビュービデオストリーミングの実現に向けた伝送方式

摘要

マルチビュービデオに関する既存研究は，低遅延かつ高データレートを持っ有線網などのネットワークを想定している．しかしながら，マルチビュービデオを高遅延かつ低データレートを持っ劣悪なネットワークを通して伝送する場合，応答遅延の増加や映像品質の低下によるユーザ満足度の低下を招く．本研究では，劣悪なネットワーク環境として水中音響通信を想定した上で，マルチビュービデオの効率的な伝送を達成するMAC層とアプリケーション層のクロスレイヤ型方式を提案する．本方式では，応答遅延の大幅な削減を達成するため，ビデオエンコーダはユーザが必要とする可能性が高いビデオフレームを予測送信する．予測失敗時には，エンコーダは送信済ビデオフレームを再利用して，マルチビュービデオをエンコードすることで，予測失敗による応答遅延の増加及び映像品質の劣化を防ぐ．性能評価には，ITU-T及びISO／IECが提供しているJMVCエンコーダと計算機シミュレータを使用し，テストビデオシーケンスとしてMERLが提供している”Exit”を用いる．シミュレーション結果から，提案手法は単純な伝送方式と比較して応答遅延が大幅に減少することを示す．また予測失敗時でも，応答遅延の増加と映像品質の劣化を抑制することを示す．