悪性腫療の血管新生と抑制療法

摘要

血管新生は，その促進因子と抑制因子のバランスによって制御されていると考えられており，これまでに生体由来の多くの因子が報告されている.正常組織において血管新生は，創傷治癒，性周期，胎児の発生過程における組織の成長など，限られた状況下でのみ起こると考えられている．悪性腫瘍の増殖においても血管新生は必須で，癌の分泌する血管新生促進因子によって内皮細胞が活性化され，血管を構築する分子群の発現が上昇し血管新生が誘導され，血液の供給によって悪性腫瘍の増殖に至る（Fig．1）．