LWE仮定に基づく鍵失効機能付き階層型IDベース暗号

摘要

鍵失効機能付き階層型IDベース暗号（revocable hierarchical identity-based encryption，RHIBE）は，通常のIDベース暗号を効果的に実利用するために，悪意のあるユーザーをシステムから除外する鍵失効機能と，階層構造によって鍵生成権限を移譲する機構を実現するものである．Boldyrevaら（ACM CCS’08）は，鍵失効機能付きIDベース暗号（revocable identity-based encryption，RIBE）を初めて提案し，SeoとEmura（CT-RSA’13，CT-RSA’15）は，RHIBEを初めて提案した．SeoとEmuraの構成を基に，これまで多くのRHIBE方式が提案されてきた．だが，LWE仮定に基づいて，格子を用いた方式としては，これまでRIBEは提案されてきたものの，RHIBEは提案されていない．IWE仮定に基づいてRHIBE方式を構成するのが困難になる技術的な理由として，鍵失効機能と鍵生成権限移譲の両立の難しさがあった．本研究で我々は，UWE仮定に基づく初めてのRHIBE方式を提案する．この構成では，前述の両立を実現するために，暗号文と復号感に2次元のレベルが与えられている．さらに，適切に更新鍵を生成するために，各ユーザーの秘密鍵にレベル変換ベクトルを用いたのが，技術的に興味深い点である．