利得差の順序付き加重平均に基づく多目的ゲームの模倣ダイナミクスと均衡解の関係

摘要

本稿では，複数ある基準ごとの利得差の順序付き加重平均に基づいた多目的ゲームの進化ダイナミクスを提案し，その性質を分析する．多目的進化ゲームは，複数の利得基準に基づいて戦略を決定する主体の相互作用を扱うモデルである．まず，多数の意思決定主体によって構成される集団において，各意思決定主体が自身と他の主体の利得差の順序付き加重平均に基づいて戦略を確率的に模倣するモデルを考える．提案した模倣モデルのもと，集団のふるまいを決定的な過程で近似した平均ダイナミクスを進化ダイナミクスとして導出し，その平衡点とゲーム理論の均衡概念や進化的安定性との関係を，順序付き加重平均の重みの違いとともに分析する．