地上衛星間レーザ回線の強度変動

摘要

地上と人工衛星間のレーザ回線の強度変動について述べる．地上から衛星へのアップリンクの対数強度分散のビーム径依存性と，衛星から地上へのダウンリンクの対数強度分散の受光口径依存性を既存の理論を用いて算出した．衛星に搭載した光学装置と地上光学装置とのレーザ伝送結果を解析し，アップリンク変動が弱いときの対数強度分散の実験値と理論計算値がほぼ合致した．また，アップリンクの対数振幅分散と口径0.2m望遠鏡での恒星シンチレーションの対数振幅分散がほぼ等しい値となった．総計11回の実験において，アップリンクの規格化強度分散と恒星観測時の規格化強度分散の相関が高い値を示した．ダウンリンクは，二つの地上望遠鏡で同時に受光した結果から衛星側のレーザビーム指向誤差による変動が支配的であった．