量子ビームテクノロジー最前線 第3回：植物ポジトロンイメージング技術による植物機能の解析－成長中のイネにおけるカドミウム動態の可視化

摘要

日本原子力研究開発機構（以下、原子力機構）では、植物が持つ機能を明らかにするために、生きた植物中での物質の動きをその場観察できる「植物ポジトロンイメージング技術」を開発し、植物中における栄養成分や環境汚染物などの動態に関する研究を進めてきた。 そして、カドミウムのポジトロン放出核種である107{sup left}Cdの製造技術の開発に成功し、これを用いた植物によるカドミウムの吸収·輸送に関する研究を始め、生きたイネが吸収したカドミウムの動態のその場観察を実現した。 本稿においては、植物ポジトロンイメージング技術と、これを用いた植物の機能解析研究について紹介する。