ネットワーク環境における仮想マウスポインタを用いた社会的側面の象徴化

摘要

人は，自らのとるべき行動を，同じ状況に基づいて他者が下した判断を外的な要因として得ることで最終的な決定を下していることが多い。 しかし，サイバースペースを利用したWWW (WbrldWldeWeb) では，ブラウジングの際，他者の存在は不可視であり，ユーザがコンテンツに埋め込まれたハイパーリンクを辿ってWebページを閲覧する際には，自己の内部に閉じた判断過程に頼ることになる。 このような現状のWWWブラウジング形態に対して，複数の他者の存在の象徴として仮想マウスポインタを使って，ユーザのブラウザに他者の存在を表示することによって，他者の行動を象徴化した仮想マウスポインタがⅥrWWにおいてユーザにどのような行動の変化を生じさせるかを観察する心理実験を行った。 その結果，複数の選択肢から選択を行なう際，仮想マウスポインタで象徴化された他者の行動に対してユーザが同調行動や仮想マウスポインタが集中したために出来た集団を避けるような行動を行なうことが確認された．