準天頂衛星システムにおける高仰角広帯域伝搬路特性の解析

摘要

準天頂衛星（みちびき）は2010年9月に打ち上げられ、高精度な衛星測位サービスを目指した利用実証もスタートしている。この様な高精度な衛星測位システムでは広帯域な伝送帯域が要求される。このため、高仰角伝搬路で見通しが確保される準天頂衛星システム等においても、都市部での建物壁面近傍で深いフェーデイングが発生し、高精度な衛星測位を確保すためには広帯域伝搬路特性を明らかにする事が重要となる。著者達は既に70度から88度の高仰角伝搬路の詳細なフィールド試験データを分析して、建物壁面近傍での高仰角広帯域伝搬路モデルを用いた右旋円偏波および左旋円偏波に於ける受信電界特性の検討評価をしている。本発表はより実運用に近い形での検討であり、建物壁面近傍での高仰角伝搬路モデルを適用して準天頂衛星からの受信波が都心部にある超高層ビル等の反射波による影響を計算機シミュレーションしている。ここでは、L帯とS帯に対して右旋円偏波および左旋円偏波に於ける高仰角受信電界特性と広帯域伝搬路特性を面的に評価している。