虫垂癌 虫垂癌の特殊性と，規約第8版と規約第9版(TNM分類第8版）の相違

摘要

虫垂癌は稀な疾患であり，日本での報告は1例報告 や少数例での報告が多く，規約に反映可能なデータがほとんどない状態であつたこともあり，規約第8版ま では，一般的大腸癌の一部位として取り扱われてきた. ただ，その組織型，臨床的特徴は一般的大腸癌とは異 なる部分も多く， TNM分類では，一般的大腸癌とは 異なる独自の癌としての進行度分類が行われてきた. 大腸癌研究会においても，2017年に新規のプロジェ クト研究，"虫垂癌プロジェクト"が立ち上がり"， 後方視的研究ではあるが多施設?多症例の検討を行い， 日本の大腸癌取扱い規約としての虫垂癌の取り扱いを 決定する方向となっている.しかし，2018年に規約 第9版が刊行された時点では，まだデータは確立して おらず，虫垂癌に関しては，TNM分類第8版に準じ て取り扱うことが決められた.よって，今回の特集で は，規約改定のポイントを見るために，規約第8版お よび第9版の一般的大腸癌の取り扱い部分と，TNM分類第8版の虫垂癌の取り扱い部分を比較した.