小脳機能理論II－前向き連想学習による予測性の運動制御

摘要

眼球運動サッカードや速い手先の到達運動では，運動の開始から終了まで視覚フィードバックがなく，前向きの制御が支配的である．固定目標に対して，個々の到達運動の指令が不完全でも，繰り返し修正を行えば目標に達する．このように繰り返し運動を実行するとき，後続する修正運動指令を先行する運動指令が連想によって予測的に取り込む学習が可能なら，より誤りの少ない到達運動になると期待できる．より一般的に，断続的なフィードバックによる前向き制御系に連想による学習機能を付加すると，新しい運動学習理論が展開できる．理論は連続的に目標が変化する場合も包含する．この制御系は並列·直列に結合して，より複雑な運動系を構成することができるので，運動誤差寄与問題の1解決法を示す．また文脈信号を学習に組み込むと，冗長性問題の1解決法を示す．具体例として倒立振子を制御する学習のシミュレーションを示す．