三次元MMIC準分布定数線路を用いた小型化ブランチラインハイブリッド回路

摘要

本論文では，三次元MMICのトポロジカルな特徴を活用した準分布定数TFMS線路によって構成する小型化されたブランチラインハイブリッド回路について検討する．三次元MMIC技術は，その微細線路?微小間隔効果により，隣接する伝送線路間の結合を少なくすることが可能である．したがって，微細なメアンダラインを容易に実現できる．更に，その積層効果によってMIM（metal-insulator-metal）キャパシタを自在に伝送線路に装荷できる．本研究では，これらの効果を利用して，高インピーダンスTFMS線路とMIMキャパシタによって構成される伝送線路を提案する．ここでは，この種のTFMS線路を「準分布定数TFMS線路（QD-TFMS: Quasi-Distributed Thin Film MicroStrip line）」と呼ぶ．まず，QD-TFMS線路の特性を回路シミュレーションによって明らかにし，その短縮効果を検証する．更に，そのQD-TFMS線路を用いたブランチラインハイブリッド回路の小型化について検討する．試作した回路は，メアンダラインだけを用いたブランチラインハイブリッド回路と比べて，面積比で20％以下に小型化できることを示す．